「冬場は暖かくしておけば大丈夫だろう」
残念ながら、暖かくするだけでは快適な環境づくりとは言えません。
冬場で注意しなければならないのは、何も寒さだけではありません。
冬は悪天候などの外的要因により、室内での生活を強いられます。
室内であれば安全性は確保できますが、今度は室内のみの不健全な生活という別の問題が生
じます。
それでは、冬場で愛犬とどのように過ごせば良いのか。
その問題と解決方法について解説していきます。
犬にとっての冬場とは
冬場で特に注意するべき点は以下の3つです。
● 低気圧
● 運動不足
● 乾燥
犬は比較的寒さに耐性があります。
人間の体感で肌寒いと感じるような気温でも、基本的に問題ありません。
低気圧
冬場は特に、低気圧による慢性的な頭痛に悩まされる方も多いでしょう。
犬も人間同様、低気圧によって体調を崩してしまいます。
犬の低気圧の影響による不調は以下のような例が考えられます。
● 元気がない
● 下痢気味
● 食欲低下
低気圧による体調不良は神経系の乱れによって起こるので、冬はいつも以上に細かな配慮が必
要になってきます。
運動不足
犬は非常に好奇心旺盛で活発な動物です。
普段であれば、散歩に連れて行って心身ともにリフレッシュできますが、外が荒れがちな冬場で
は散歩に連れて行くのは困難。
なので、室内での運動を取り入れる必要があります。
適度な運動は健康維持にも欠かせません。
そのため活動量が衰え始めるシニア期であっても、最低限の運動は必須です。
乾燥
寒さに関連して、冬は乾燥しがちな季節です。
犬にとっての最適な湿度は50%前後なので、加湿器などを用いて意識的に湿度を上げる工夫が
必要です。犬の肌は乾燥が苦手です。皮膚を守るため、体毛で覆われている犬種がほとんどですが、角質層の厚さは人間の3分の1と言われています。そのため皮膚表面や角質層が温められると、体内水分も逃げやすくなり皮膚も乾燥しがちになります。
また、犬は環境の変化によるストレスに敏感なので、湿度が気になり始めたら。ではなく、室内環
境は極力一定に保ちましょう。
犬が冬場で快適に過ごせるようにする方法
冬場では以下の点を意識しましょう。
● 適温適湿
● 適度な運動
● スキンシップ
上記は冬場に限った話ではありませんが、室内での生活を強いられるため、冬場では特に意識
する必要があります。
適温適湿
犬にとって適切な室温・湿度は以下のようになります。
室温:23~25℃
湿度:50%前後
20〜25℃の室温でも問題ありませんが、20℃は人間にとっては肌寒い温度です。
そのため、多少の変動にも対応できて共生できる24℃を目安にするのがおすすめ。
また犬は温度を始めとした環境の変化にも敏感なので、設定温度は常に同じにするのが望まし
いです。
スキンシップ
室内での生活は行動範囲が狭まる分、どうしてもストレスが溜まりがち。
気分転換にも散歩に連れて行くのがいいですが、雪が積もり始めると外出は困難。
なので、散歩に連れて行けない分の時間は、室内で可能な遊びを取り入れましょう。
手頃な方法としては、タオルとおやつを使ったトレーニング。
準備は緩めの固結びをしたタオルの中におやつを入れるだけ。
他にも、
● 新しい芸を教える
● 部屋に隠したおやつを探させる
● どちらの手におやつを隠したか当てさせる
● 簡単なお手入れに挑戦する
どれも年齢にかかわらず問題なくスキンシップが図れます。
特にお手入れの練習は、季節問わず今後のスキンシップの手段としても非常に重宝するのでお
すすめです。
適度な運動
適度な運動は心身のケアに非常に重要です。
理想は散歩で動けなかった時間分の運動量ですが、室内での運動は限界があります。
おすすめの運動としては以下の2つ。
1.おもちゃを使った遊び
犬の祖先である狼は獲物を追いかけて狩りをする習性があります。
そのため、動く対象物には敏感でこの習性を遊びに取り込む事でさらに満足感を得られます。
おもちゃを獲物に見立てて「引っ張りっこ」や「もってこい」遊びがおすすめです。
おやつを隠せる知育トイはたくさん鼻を使う事でお散歩と同じぐらいエネルギー発散や脳トレにもなります。
冬場に限らず雨の日などにも使える運動なので、非常におすすめです。
2.室内ドッグラン
運動と言っても、単純に身体を動かせれば何でもいいという訳ではありません。
運動を通して飼い主との絆を深めたり、他の犬と交流させることで社交性も育まれます。
アジリティなども活用すると頭を使うのでエネルギーやストレス発散にもなります。
冬場の散歩
結論から言うと、無理に散歩に連れて行く必要はありません。
散歩は近隣の住民との交流機会があったり、単純に普段目の届かない範囲まで移動することで
ストレスケアができると推奨されています。
なので、できるだけ連れて行きたいところですが、それで体調を崩しては本末転倒。
目安としては11℃以上です。
10℃以下の気温だと風邪をひくリスクが高まるためです。
しかし、温度が変動しやすい小型犬や子犬・シニア犬などは寒さへの耐性が低かったり、室内と
の急激な環境変化により体調を崩してしまいます。
そのため、冬場の散歩は服を着せるなどの防寒対策や暖かい日を見計らうなどして、慎重に判断しましょう。
体調不良のサイン
体調不良をいち早く察知するためには、鼻の状態を確認してみましょう。
犬の鼻は温度センサーのような機能が備わっています。
具体的には鼻を程良く湿らせて、空気中の成分や温度を感じ取る仕組み。
これは鼻の水分で空気中の成分を溶かして匂いや温度に対して敏感に感じ取れるようになるか
らです。
指先を舐めて風向きを調べたりするのも似ています。
逆に鼻が適度に湿っていない。ということは何らかの不調を起こしているということです。
また冬場以外にも起こりうる鼻の症状例として以下のものもあります。
鼻のかぶれ
→流涙症
鼻水が多い
→鼻炎、副鼻腔炎、ケンネルコフ、イヌ伝染性肝炎
鼻の膨らみ
→副鼻腔炎
鼻血
→血小板減少症
鼻音が荒い
→鼻腔狭窄
体調不良時の症状例
犬も寒さを感じると、人間と似たような反応をします。
冬場では主に以下の症状が挙げられます。
● 震え
● くしゃみ、鼻水
各症状の対策としては以下のような方法が挙げられます。
震え
主に寒さや緊張・恐怖などのストレスが原因。
冬場の雨風や雷雨といった大きな環境音は、臆病な子や子犬にとっては非常にストレスを感じま
す。
環境音に対する根本的な対策はありませんが、スキンシップを多めに取り入れることで気を逸ら
すことが可能です。
くしゃみ・鼻水
犬も風邪をひくとくしゃみ・鼻水といった症状が出ます。
寒さが原因であれば暖かくすることで対策できますが、以下の場合も想定されます。
● アレルギー
● 埃などを吸った際の生理反応
また顔を上に向けた状態を続けると、鼻腔内が圧迫されてくしゃみをします。
なので、歯磨きなどのお手入れをする際には、顔の位置はできるだけ水平状態を維持しながら
行うのがベストです。
要注意犬種
冬場では以下の犬種は特に注意が必要です。
● シングルコート
シングルコートとは単層構造の被毛を持つ犬種のこと。
二層構造のダブルコートと違い、寒暖期に合わせて毛量を調整できません。
そのため比較的暑さや寒さへの耐性が低いです。
例:トイプードル、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、パピヨン、シーズー、ビーグル、ダルメシアン
など
● 小型犬(目安は体重5kg以下)
体長が小さい小型犬は体温が変動しやすいです。
例えば、レンジでお弁当を温める際にも、量が少ない方が温め時間が少なくなります。
小型犬に限った話ではありませんが、室温を始めとした住環境は極力一定を保ちましょう。
● 子犬・シニア犬(子犬:生後1~2年以下 シニア犬:6~11歳以上)
子犬・シニア犬は体が弱く、犬は特に環境変化には敏感です。
気圧による影響も非常に受けやすく、冬場は体調を崩すケースが多くなります。
「犬が冬場で快適に過ごせるようにする方法」を参考にして、厳密な住環境の整備に努めましょ
う。
まとめ
以下は記事の要点まとめです。
● 冬場は寒さ対策だけでは不十分
● 室温23~25℃ 湿度50%前後を一定に保つ
● 室内でできるスキンシップや運動を取り入れることが重要
● 無理に散歩に連れて行く必要はない
● 体調が怪しい時はまずは鼻をチェックしてみる
愛犬の状態によってはどうしても体調を崩しがちな冬ですが、適切な運動・環境を確保して厳し
い冬を乗り切りましょう。